パーマの科学:美しいカールを作る技術

パーマの科学:美しいカールを作る技術

コスメが上手くなりたい

パーマネントウェーブって、どうやって髪がカールするんですか?

コスメ研究家

髪の中の結合を薬でいったん切り離して、ロッドで巻いた形に固定してから、もう一度結合させることでカールを作ります。

コスメが上手くなりたい

結合を切るって、髪が傷むんじゃないですか?

コスメ研究家

薬剤で髪が傷むのは事実です。でも、薬剤の種類や美容師さんの技術によってダメージを少なくできます。髪質に合った薬剤を選ぶこと、施術後のケアが大切です。

パーマネント・ウェーブとは。

『パーマネント・ウェーブ』とは、人の髪の毛の結びつきを薬でいったん切り、その後また別の薬で結びつけることで、髪にウェーブをつけたり、くせ毛をまっすぐにしたりと、髪型を思い通りに変える方法のことです。簡単に言うと、パーマとかウェーブ、ストレートパーマとも呼ばれています。

ウェーブ剤の歴史は古く、紀元前の女性たちは泥を髪に塗って棒に巻き付け、天日で乾かすことでカールを作っていたそうです。1905年にはドイツのネスラーさんが、ホウ砂を使った薬品と熱で髪をカールさせる方法を考え出しました。これは大正時代末期から昭和時代初期にかけて、日本でも電気パーマとして流行しました。1940年にはアメリカのマクドノーさんが、熱を使わずに髪にウェーブをかける方法を発明しました。これが今のウェーブ剤の基礎となっています。

戦後の日本では、このアメリカのウェーブ剤が急速に広まりましたが、使い方が不慣れだったこともあり、髪が切れたり、皮膚にトラブルが起きたりすることが多くありました。そのため、昭和51年にはウェーブ剤に関する基準が作られました。その後、何度か改正され、今ではウェーブ剤は厚生労働省が安全性を管理しています。

私たちの髪は、ケラチンというタンパク質でできています。このケラチンはたくさんのアミノ酸がつながって網目状の構造になっているため、硬くて弾力があります。パーマネント・ウェーブは、この網目構造の結びつきに作用する薬を使うのです。

パーマ剤の1液には、髪の結びつきを切る薬と、髪をふくらませる薬が入っています。1液を髪に塗ると、髪がふくらんで薬が浸透し、結びつきが切れて髪が柔らかくなります。次に2液を塗ると、2液に含まれる薬が、切れた結びつきを再びつなぎ合わせ、髪を硬くします。

髪をロッドに巻いて薬を塗ると、ロッドの形に合わせて髪の内部の結びつきが変化します。1液で結びつきが切れた後、2液で再び結びつきが作られるとき、ロッドの形に合わせて新しい結びつきができます。そのため、ロッドを外すと髪がウェーブ状になるのです。この結びつきはとても強いので、髪を洗ってもウェーブがとれにくく、数ヶ月間ウェーブが続きます。

ストレートパーマは、1液と2液がクリーム状になっています。くせ毛に1液を塗ってくしでとかし、しばらく置いてから洗い流し、次に2液を塗って同じようにくしでとかします。最後に洗い流すと、くせ毛がまっすぐになります。薬の作用はウェーブの場合と同じです。

パーマ剤には色々な種類があり、髪を傷める度合いが少ないものや、強いウェーブが作れるものなどがあります。美容師さんはお客さんの希望や髪の状態に合わせて薬を選び、テストカールをして仕上がりを確認しながら施術を行います。

パーマをかけることで印象が変わったり、毎日のスタイリングが楽になったりと、その効果は大きいものです。昔から続く美しさへの憧れとともに、パーマ剤の技術も進化し続けています。これからも、より安全で使いやすいパーマ剤が開発されていくことでしょう。

ウェーブ効果とは、パーマ剤を使って髪にウェーブをかけ、そのウェーブを保つ効果のことです。ウェーブの強さ、均一性、弾力性、持続性などが重要になります。ウェーブ効果は、パーマ剤の品質、髪質、パーマの技術によって大きく変わるため、美容師さんはお客さんの要望に合わせて、髪質や薬剤、技術を carefully 選ばなければなりません。特に薬剤を塗布してからの時間は、テストカールを行いながら、慎重に調整されます。

ウェーブ効果の評価方法には、キルビー法という方法があります。これは、パーマやカラーをしたことのない髪を使って、ウェーブの波の長さを測り、数値化するものです。他にも、市販のロッドを使ってウェーブ効果を数値化する方法もあります。

歴史

歴史

人は古くから髪に様々な飾りを付けたり、形を変えたりして、美しさを追求してきました。その歴史は長く、有史以前から人々は髪に手を加えていたと考えられています。例えば古代エジプトでは、ヘンナという植物を使って髪を染めていたという記録が残っています。また、古代の人々は泥や粘土のようなものを髪に塗って棒に巻き付け、天日の熱で乾かすことでカールを作っていたと言われています。これは現代のパーマの原型と言えるかもしれません。

時代が進み、20世紀に入ると髪型を作る技術は大きく発展しました。1905年にはドイツで、ホウ砂と電熱を使ったパーマの技術が生まれました。これは日本にも伝わり、「電気パーマ」として人気を集めました。しかし、この方法は髪への負担が大きかったようです。そして1940年、アメリカで革新的な技術が開発されました。それが「コールドパーマ」です。このコールドパーマはチオグリコール酸という薬品を使ったもので、熱を使わずに髪を曲げることができたため、髪への負担が少なく、画期的な発明として世界中に広まりました。これが現在のパーマの基礎となっています。

日本では第二次世界大戦後、このコールドパーマが急速に普及しました。しかし、当時は技術が未熟で、髪が傷んだり、頭皮にトラブルが起きたりすることも少なくありませんでした。そのため、安全なパーマ施術の必要性が高まり、1976年にはパーマ液に関する安全基準が定められました。現在では、パーマ液は医薬部外品として厚生労働省の管理下に置かれ、安全性と品質が確保されています。このように、パーマ技術は長い歴史の中で進化を続け、安全で美しい髪型を実現する方法として、多くの人々に利用されています。

時代 出来事
有史以前 髪に飾り付けや、泥や粘土でカールを作っていた。
1905年 ドイツで電気パーマ誕生。日本にも伝わる。
1940年 アメリカでコールドパーマ誕生。
第二次世界大戦後 日本でコールドパーマ普及。しかし、技術未熟で髪や頭皮にトラブルが多発。
1976年 パーマ液の安全基準制定。
現在 パーマ液は医薬部外品として厚生労働省の管理下。

仕組み

仕組み

私たちの髪は、ほとんどがケラチンと呼ばれるたんぱく質でできています。このケラチンは、小さな粒々が鎖のように長くつながった形をしています。小さな粒の種類はいろいろありますが、これらをアミノ酸といいます。そして、このケラチン鎖は、網目のように互いに結びついています。この結びつきはジスルフィド結合と呼ばれ、とても強い結びつきです。ケラチンとジスルフィド結合のおかげで、私たちの髪は硬く、そして弾力があるのです。

パーマをかけるということは、このジスルフィド結合を切ったり、つなぎ直したりして、髪の形を変えることを意味します。パーマ液には、ジスルフィド結合を切る役割を持つものと、髪をふくらませる役割を持つものが含まれています。前者を還元剤、後者をアルカリ剤といいます。パーマ液を髪につけると、まずアルカリ剤のはたらきで髪がふくらみます。髪がふくらむことで、還元剤が髪の内部まで入り込みやすくなるのです。そして、還元剤がジスルフィド結合を切ります。すると、ケラチン鎖同士の結びつきがなくなるため、髪は柔らかくなります

次に、酸化剤と呼ばれるものが入った液体を髪につけます。これを2液と呼びます。2液をつけると、切れていたジスルフィド結合が再びつながっていきます。すると、髪は再び硬くなってきます。ここで重要なのは、パーマをかける時には髪をロッドと呼ばれるものに巻いている、ということです。ロッドで巻かれた状態でジスルフィド結合が再びつながるため、結合の位置が元の位置とは異なり、その結果、ウェーブがかかった状態になるのです。

種類

種類

髪形を変える液には、実に様々な種類があります。大きく分けると、髪を曲げる液と、伸ばす液の二種類があり、それぞれに適した薬剤が用いられています。

まず、髪を曲げる液について見ていきましょう。この液の主成分である還元剤にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。代表的なものとしては、チオグリコール酸系、チオ乳酸系、システイン系が挙げられます。チオグリコール酸系は、しっかりとした強い曲線を作ることができますが、髪への負担も大きくなってしまうという面があります。一方、システイン系は、髪への負担が少ないのが特徴です。ふんわりとした柔らかな曲線を作るのに適していますが、チオグリコール酸系に比べると曲げる力は弱くなります。そのため、傷みが気になる髪にはシステイン系がよく選ばれています。また、チオ乳酸系は、これらの中間的な性質を持っています。

さらに、髪を曲げる液は、仕上がりの曲線の強さや、使う時の温度によっても分けられます。大きな曲線を出すもの、小さな曲線を出すものなど、目的によって薬剤を使い分ける必要があるのです。また、温度については、常温で使うものと、温めるものがあります。

次に、髪を伸ばす液についてです。この液には、チオグリコール酸系の薬剤のみが使用されます。髪を曲げる液と同様に、伸ばす際にも薬剤で髪の組織を一度柔らかくする必要があります。その後、熱を加えながらまっすぐに伸ばし、形を固定する薬剤で仕上げます。

このように、髪形を変える薬剤には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。自分の髪質や、なりたい髪形に合わせて、最適な薬剤を選ぶことが大切です。美容師さんとよく相談して、髪への負担を最小限に抑えながら、理想の髪形を実現しましょう。

種類 成分 特徴
髪を曲げる液 チオグリコール酸系 強い曲線、髪への負担大
チオ乳酸系 中間的な性質
システイン系 負担少なめ、柔らかな曲線、曲げる力弱め
髪を伸ばす液 チオグリコール酸系 髪を柔らかくし、熱を加えながら伸ばし、固定

効果

効果

髪にウェーブを作り、形を変えるのがパーマです。ウェーブの強さや均一さ、弾力、持ちの良さが仕上がりの美しさを左右します。これらの要素は、パーマ液の性質、髪の状態、施術のやり方によって大きく変わります。美容師は、お客さんの望みや髪質をしっかり見極め、最適なパーマ液を選び、施術方法を調整します。施術中は、試しに一部の髪にパーマをかけ、ウェーブの出方を細かく確認しながら慎重に進めます。

パーマの効果を数値で測る方法も存在します。例えば、キルビー法と呼ばれる方法では、何もしていない髪を束ねてパーマをかけ、ウェーブの波の長さを測ります。他にも、お店で売られている螺旋状の棒を使って、ウェーブのかかり具合を数値化するやり方もあります。

理想的なウェーブを作るには、髪への負担を最小限に抑えることが大切です。パーマ液は、髪のたんぱく質に作用してウェーブを作り出しますが、同時に髪を傷める原因にもなります。美容師は、髪の状態に合わせて適切なパーマ液を選び、施術時間を調整することで、ダメージを減らす工夫をしています。施術後のケアも重要です。例えば、栄養を与えるトリートメントで髪を補修したり、乾燥を防ぐために保湿に力を入れたりすることで、パーマのもちが良くなり、美しいウェーブを長く楽しめます。

パーマは、髪型を変えるだけでなく、ボリューム不足や直毛で悩んでいる人のコンプレックス解消にも役立ちます。髪にふんわりとしたボリュームを出したり、動きのあるスタイルにしたりすることで、若々しい印象を与えたり、全体の雰囲気を明るくしたりすることも可能です。適切な施術とケアで、パーマの効果を最大限に引き出し、理想の髪型を手に入れましょう。

項目 内容
パーマとは 髪にウェーブを作り、形を変える技術
仕上がりの美しさの要素 ウェーブの強さ、均一さ、弾力、持ちの良さ
仕上がりに影響する要素 パーマ液の性質、髪の状態、施術のやり方
美容師の役割 顧客の要望や髪質を見極め、最適なパーマ液と施術方法を選択
施術中の確認 一部の髪にパーマをかけ、ウェーブの出方を細かくチェック
パーマ効果の測定方法 キルビー法(ウェーブの波の長さを測定)、螺旋状の棒を使った数値化
理想的なウェーブ作りのポイント 髪への負担を最小限に抑える
パーマ液と髪への影響 ウェーブを作り出すが、同時に髪を傷める原因にもなる
ダメージ軽減のための工夫 髪の状態に合わせたパーマ液選択、施術時間調整
施術後のケア トリートメントによる髪補修、保湿
パーマのメリット 髪型を変える、ボリューム不足や直毛のコンプレックス解消、若々しい印象

安全性

安全性

縮毛矯正や巻き髪を作るための液剤は、薬機法で定められた医薬部外品に分類され、厚生労働省の厳しい管理下にあります。これは、過去に髪や頭皮に深刻な問題が起きたことを受けて、安全性を確保するために定められたものです。これらの液剤には、チオグリコール酸やシステアミンなど、髪を曲げたり伸ばしたりする成分が含まれていますが、使い方を誤ると、髪が傷んだり、頭皮がかぶれたりする可能性があります。そのため、製造や販売、使用に関して様々なルールが設けられています。

美容師は、これらの法律やルールを遵守し、髪や頭皮の状態、液剤の性質を理解した上で施術を行う必要があります。例えば、液剤を塗布する際には、頭皮に直接触れないように注意したり、放置時間を厳守したりする必要があります。また、施術前にパッチテストを行い、アレルギー反応がないかを確認することも重要です。施術後には、髪や頭皮をいたわるための適切なケア方法を顧客に伝えることも美容師の大切な役割です。

顧客自身も、安全に施術を受けるために、自分の髪や頭皮の状態に合った液剤を選んだり、信頼できる美容院を選ぶ必要があります。例えば、髪が細い、傷みやすいといった場合は、髪への負担が少ない液剤を選ぶべきです。また、頭皮が敏感な場合は、低刺激の液剤を選ぶ、または施術前に美容師に相談することが大切です。施術中に少しでも異常を感じたら、すぐに美容師に伝えることも必要です。

万が一、施術後に赤みやかゆみ、痛みなどのアレルギー反応が出た場合は、すぐに使用を中止し、皮膚科やアレルギー科の専門医に相談しましょう。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりすると、症状が悪化する場合があります。安全に縮毛矯正や巻き髪を楽しむためには、正しい知識を持ち、適切なケアを行うことが不可欠です。美容師と顧客が協力して、安全で安心な施術環境を作ることが大切です。

対象者 安全な縮毛矯正・巻き髪のための行動
美容師
  • 薬機法、厚生労働省のルール遵守
  • 髪・頭皮の状態、液剤の性質を理解
  • 頭皮に液剤を付けない
  • 放置時間厳守
  • 施術前パッチテスト
  • 施術後ケア方法の説明
顧客
  • 髪・頭皮に合った液剤選び
  • 信頼できる美容院選び
  • 敏感な頭皮の場合は低刺激液剤or相談
  • 異常を感じたらすぐ美容師に伝える
  • アレルギー反応発生時は使用中止、専門医受診

未来

未来

髪に動きと表情を与える技術、パーマは、長年の研究開発を経て、大きく進歩してきました。より安全に、より使いやすく、そして髪への負担を少なくするための研究は、今もなお、様々な分野で続けられています。

例えば、パーマ液に含まれる成分の研究は、大きな進歩を遂げています。従来のパーマ液では、少なからず髪への負担がありました。これを軽減するために、髪への刺激を抑え、保護する成分の研究開発が進んでいます。具体的には、天然由来の成分や、髪の構造を補強する成分などが注目されており、これらを配合することで、パーマをかけながらも、髪の健康を保つことが期待されています。

また、パーマをかける技術そのものも進化しています。従来は、画一的な薬剤と技法で施術を行うことが一般的でしたが、一人ひとりの髪質や、なりたい髪型に合わせて、薬剤の配合や施術方法を調整する、個別対応型のパーマ技術の開発が進んでいます。これにより、より自然で、より理想に近いウェーブやカールを作り出すことが可能になります。

さらに、パーマ液そのものを個別に調合する、オーダーメイド型のパーマ液の開発も期待されています。一人ひとりの髪質やダメージレベル、そしてなりたい髪型を細かく分析し、最適な成分を配合することで、より安全で、より効果的なパーマ施術が可能になります。まるで、自分のためだけに作られた化粧品のように、パーマ液もパーソナルなものになっていくでしょう。

髪型を変えることで、気分も変わり、新しい自分に出会うことができます。パーマは、単に髪型を変えるだけでなく、個性を表現し、自信を高めるための大切な手段です。これからも科学の進歩とともに、パーマ技術は進化し続け、人々の美しさへの願いを叶え、より豊かな表情を創造していくことでしょう。

項目 内容
パーマ液の成分 従来のパーマ液よりも髪への負担が少ない成分が研究されており、天然由来成分や髪の構造を補強する成分が注目されている。
パーマ技術 画一的な方法から、一人ひとりの髪質やなりたい髪型に合わせた薬剤の配合や施術方法を調整する個別対応型の技術が開発されている。
オーダーメイド型パーマ液 個人の髪質やダメージレベル、なりたい髪型に合わせて最適な成分を配合したパーマ液の開発が期待されている。