制汗剤のすべて
コスメが上手くなりたい
『制汗剤』って、どういうものか、簡単に教えてください。
コスメ研究家
簡単に言うと、汗が出るのを少なくする薬剤のことだよ。汗腺を塞いだり、縮めたりすることで汗を抑えるんだ。
コスメが上手くなりたい
色々な種類があるみたいですが、どう違うんですか?
コスメ研究家
そうだね。スプレー、スティック、ローション、ロールオンなど、色々な形状があるね。それぞれ使い心地や、含まれている成分が少しずつ違うんだよ。例えば、スティックタイプは手軽でさっぱりした使い心地だけど、スプレータイプは広範囲に塗布しやすいといった特徴があるよ。
制汗剤とは。
汗を抑える化粧品のことを『制汗剤』と言います。制汗剤は、汗の出口を塞いだり、縮めたりすることで汗の量を減らします。20世紀の初めにアメリカで、塩化アルミニウムというものが汗を抑えるために使われ始めました。しかし、塩化アルミニウムは使い心地が悪く、肌への刺激や服への悪影響があったため、改良が必要でした。1947年には、刺激の少ない塩化アルミニウムの水和物が開発されました。このACHと呼ばれる成分は、塩化アルミニウムよりも肌に優しく、現在も多くの制汗剤に使われています。1970年代には、さらに効果の高い制汗成分がアメリカで開発されましたが、動物実験で肺への影響が見られたため、日本では使われていません。ACHは、肌に塗って乾くと汗腺に蓋をするため、汗を抑える効果があると言われています。制汗効果の測定方法は大きく分けて三つあります。汗を染めて目で見て確認する方法、肌の水分量を機械で測る方法、そして実際に脇の下の汗の量を測る方法です。アメリカでは、制汗剤の効果を厳しく評価する決まりがあり、効果が低いものは販売できません。アメリカの制汗剤は、だいたい30~50%汗を抑える効果があるとされています。ACHは開発以降、より肌に優しい成分との組み合わせや、効果を高めたものなどが開発されています。日本では、ACH以外に、パラフェノールスルホン酸亜鉛という成分も制汗剤として認められています。これは汗腺を塞ぐのではなく、縮めることで汗を抑えますが、効果は弱いと言われています。制汗剤には、スプレー、スティック、ローション、ロールオンなど様々な種類があります。汗を抑える成分だけでなく、清涼感を与える成分や体臭を抑える成分なども含まれています。スティックタイプは、汗を抑える成分を石鹸で固めたもので、さっぱりとした使い心地です。スプレータイプは、手軽に使える反面、狙った場所以外にも成分が付着しやすいという欠点もあります。ローションタイプは、様々な成分を配合できるという利点がありますが、乾きにくい場合もあります。ロールオンタイプは、容器の先端にボールが付いていて、肌に直接塗り込めるようになっています。
制汗剤の歴史
汗を抑えるための道具、制汗剤。その歴史は意外と浅く、今から百年ほど前の二十世紀初頭のアメリカで始まりました。塩化アルミニウムという物質が汗を止める効果を持つことが発見され、これが最初の制汗剤として使われるようになったのです。しかし、当時のものは使い心地が悪く、肌への負担も大きかったのです。肌がかぶれたり、服が傷んだりといった問題も多く、より良いものを作るための改良が続けられました。
それからしばらく経った千九百四十七年、大きな進歩がありました。一部を中和処理した塩化アルミニウム水和物、今で言うところの「エークエイチ(ACH)」が開発されたのです。このエークエイチは、以前のものと比べて肌への刺激が少なく、使い勝手も向上しました。中和処理の手間も省けるようになり、広く使われるようになりました。現在も多くの制汗剤でこのエークエイチが中心的な役割を担っています。
時代はさらに進み、千九百七十年代には塩化アルミニウムとジルコニウムを合わせた複合塩を使った、より効果の高い制汗剤が開発されました。しかし、動物実験でこの物質が肺に影響を与える可能性が示唆され、安全性を疑問視する声があがりました。その結果、スプレー式の制汗剤にはこの物質を使うことが禁止されることになり、日本では現在も使われていません。
このように、制汗剤は効果を高めながら、同時に安全性を確保するという、両立の難しい課題に挑戦し続けてきました。人々の快適な暮らしを支えるために、制汗剤は今もなお進化を続けているのです。
年代 | 主な出来事 | 制汗剤の成分 | 課題・問題点 |
---|---|---|---|
20世紀初頭 | アメリカで最初の制汗剤が登場 | 塩化アルミニウム | 使い心地が悪い、肌への負担が大きい、肌のかぶれ、服の損傷 |
1947年 | エークエイチ(ACH)開発 | 一部中和処理した塩化アルミニウム水和物 | |
1970年代 | より効果の高い制汗剤が登場 (スプレー式) | 塩化アルミニウムとジルコニウムの複合塩 | 動物実験で肺への影響の可能性が示唆され、スプレー式は使用禁止 |
現在 | 効果と安全性の両立を目指し進化中 | エークエイチなどを中心とした様々な成分 |
制汗のしくみ
汗をとめる方法には、主に二つの種類があります。一つは、汗の出口を物理的にふさぐ方法です。もう一つは、汗腺をキュッと縮めて、汗の量を減らす方法です。
まず、汗の出口をふさぐ方法について説明します。この方法で使われる代表的な成分は、塩化アルミニウムです。塩化アルミニウムを水に溶かして肌に塗ると、水分が蒸発して、塩化アルミニウムの結晶が肌に残ります。そして、汗をかくと、この結晶が汗を吸って、ゼリー状に変化します。このゼリー状の物質が汗腺の出口をふさぎ、汗が出ないようにするのです。つまり、塩化アルミニウムは、汗腺にフタをすることで、物理的に汗を止めているのです。
次に、汗腺を縮めて汗の量を減らす方法について説明します。この方法で使われる代表的な成分は、亜鉛です。亜鉛には、汗腺をキュッと縮める作用があります。汗腺が縮むと、汗の出口が狭くなり、汗の量が自然と減っていきます。この作用のことを「収れん」といいます。亜鉛は、汗腺を収れんさせることで、汗が出る量を調整しているのです。
塩化アルミニウムと亜鉛は、どちらも汗を抑える効果がありますが、その強さには違いがあります。一般的に、塩化アルミニウムの方が、亜鉛よりも汗を止める効果が高いと言われています。一方で、亜鉛は、肌への刺激が少ないため、敏感肌の人にも使いやすいという利点があります。それぞれの成分の特徴を理解して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
成分 | 汗を止めるメカニズム | 効果の強さ | 肌への刺激 |
---|---|---|---|
塩化アルミニウム | 汗腺にフタをする(物理的に汗を止める) | 高い | やや強い |
亜鉛 | 汗腺を収れんさせる(汗の量を調整する) | 低い | 少ない |
制汗効果の評価
汗を抑える効果を確かめる方法は、大きく分けて三つあります。一つ目は、汗を目で見えるようにして確かめる方法です。汗は本来透明で見えにくいので、工夫が必要です。例えば、デンプンとヨウ素を混ぜたものに汗がつくと色が濃く変わる性質を利用して、汗の量を目で見えるようにする方法があります。汗が多いほど色が濃くなるため、どのくらい汗が出ているのかを色の濃さで判断できます。
二つ目は、肌の様子の変化で確かめる方法です。汗をかくと肌から水分が失われたり、逆に肌の水分量が増えたりといった変化が起こります。これらの変化を専用の機械を使って数値で測ることで、汗の量を間接的に調べることができます。肌の水分量が減っている場合は汗が多く出ていると考えられますし、逆に肌の水分量が増えている場合は汗が出ていないと考えられます。
三つ目は、実際に汗の重さを量る方法です。汗を吸収するシートを脇の下に貼って、一定時間後にシートの重さを量ります。汗をかいていればシートの重さが増えているはずなので、その増えた重さから汗の量を計算することができます。この方法は、実際にどれだけの量の汗が出ているのかを正確に知ることができるため、信頼性の高い方法と言えるでしょう。
特にアメリカでは、汗を抑える製品は医薬品と同じように扱われています。そのため、効果を確かめる際には、国の決まりに従ってとても厳しい条件でテストをしなければなりません。テストに参加した人の半分以上で、汗の量が20%以上減らないと、汗を抑える効果があると宣伝することができません。アメリカの汗を抑える製品の効果は、だいたい30%から50%ほどと言われています。
汗を抑える効果を確かめる方法 | 詳細 |
---|---|
汗を目で見えるようにして確かめる方法 | デンプンとヨウ素を混ぜたものに汗がつくと色が濃く変わる性質を利用。汗が多いほど色が濃くなる。 |
肌の様子の変化で確かめる方法 | 肌の水分量の変化を専用の機械で数値化し、汗の量を間接的に調べる。水分量減少は発汗、増加は無発汗を示唆。 |
実際に汗の重さを量る方法 | 汗を吸収するシートの重量変化から汗の量を計算。信頼性が高い。 |
特にアメリカでは、汗を抑える製品は医薬品と同じように扱われ、
効果を確かめる際には、国の決まりに従ってとても厳しい条件でテストをしなければなりません。
テストに参加した人の半分以上で、汗の量が20%以上減らないと、汗を抑える効果があると宣伝することができません。
アメリカの汗を抑える製品の効果は、だいたい30%から50%ほどと言われています。
様々な種類の制汗剤
汗のにおいを抑えるための様々な工夫が凝らされた商品である制汗剤は、実は様々な形で売られています。大きく分けて、霧のように吹きかけるもの、棒状のもの、乳液状のもの、そして回転式の容器に入ったものなどがあり、それぞれに良さがあります。
まず、霧のように吹きかけるものは、手軽に広い範囲に吹き付けられるのが魅力です。しかし、勢いよく出るため、周囲に飛び散りやすいという欠点もあります。また、ガスを使用しているため、環境への影響も気になるところです。使う際には、周囲に人がいないか、また換気の良い場所で使うなどの注意が必要です。
次に、棒状のものは、直接肌に塗ることができ、狙った場所にピンポイントで塗れるのが特徴です。汗をかきやすい脇の下など、部分的に使いたい時に便利です。また、持ち運びにも便利で、外出先で使うのにも適しています。
乳液状のものは、肌に伸ばしやすく、保湿効果も期待できます。乾燥肌の人や、肌のケアを重視する人におすすめです。ただし、乾くまでに少し時間がかかるため、忙しい朝には不向きかもしれません。
回転式の容器に入ったものは、容器の先端にボールが付いており、肌の上を滑らせるようにして塗ることができます。塗りやすく、液だれしにくいのが特徴です。また、ムラなく均一に塗布できるのもメリットです。
このように、制汗剤には様々な種類があり、それぞれに長所と短所があります。自分の肌質や生活スタイル、そして使う場面に合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。例えば、スポーツをする際は、汗を素早く吸収してくれるもの、乾燥肌の人は保湿効果のあるもの、持ち運びたい場合はコンパクトなものなど、用途に合わせて使い分けるのも良いでしょう。
種類 | メリット | デメリット | おすすめシーン |
---|---|---|---|
スプレータイプ | 手軽に広い範囲に塗布できる | 周囲に飛び散りやすい、環境への影響 | |
スティックタイプ | ピンポイント塗布、持ち運び便利 | 外出先、部分使い | |
乳液タイプ | 保湿効果、肌に伸ばしやすい | 乾くまでに時間がかかる | 乾燥肌の人 |
ロールオンタイプ | 塗りやすい、液だれしにくい、ムラなく塗布 |
制汗剤の成分
汗を抑えるための製品には、汗の量を減らす成分だけでなく、様々な成分が加えられています。これらの成分は、使い心地を良くしたり、汗を抑える効果を高めたりする役割を担っています。具体的には、すっきりと爽快な感覚をもたらす成分、体臭を抑える成分、汗を吸い取る粉末状の成分、そして香りをつける成分などがあります。
まず、爽快感をもたらす成分としては、はっか油などがよく使われます。これらの成分は、肌に塗るとひんやりとした感覚を与え、暑い時期でもさっぱりとした使い心地を実現します。次に、体臭を抑える成分としては、臭いのもととなる物質を吸着する成分や、細菌の増殖を抑える成分などがあります。汗をかいたときに発生しやすい不快な臭いを抑え、清潔な状態を保つのに役立ちます。
汗を吸い取る粉末状の成分としては、滑石やとうもろこしのでんぷんなどが挙げられます。これらの成分は、汗を吸収することで肌のべたつきを抑え、さらさらとした状態を保ちます。肌への負担が少ないものも多く、敏感肌の人にも使いやすい製品が多くあります。
香りをつける成分は、いわゆる香料で、体臭を覆い隠す効果があります。爽やかな香りやフローラルな香り、石鹸のような清潔感のある香りなど、様々な種類の香料が使用されています。香りは好みが分かれるため、自分に合った香りの製品を選ぶことが大切です。
近年では、肌への刺激を少なくした成分や、植物など自然由来の成分を使った製品も開発されており、消費者の様々なニーズに応える製品が登場しています。汗の量や体質、肌の状態に合わせて、最適な製品を選び、快適に過ごしましょう。
成分の役割 | 具体的な成分 | 効果 |
---|---|---|
爽快感をもたらす | はっか油など | ひんやりとした感覚、さっぱりとした使い心地 |
体臭を抑える | 臭いのもととなる物質を吸着する成分、細菌の増殖を抑える成分など | 不快な臭いを抑え、清潔な状態を保つ |
汗を吸い取る | 滑石、とうもろこしのでんぷんなど | 肌のべたつきを抑え、さらさらとした状態を保つ |
香りをつける | 香料 | 体臭を覆い隠す |
制汗剤の選び方
汗を気にせず心地よく過ごすためには、自分にぴったりの制汗剤を選ぶことが大切です。色々な種類の制汗剤があるので、どんな点に気を付けて選べばいいのか、ポイントをいくつかご紹介します。
まず自分の肌の状態を考えてみましょう。デリケートな肌の方は、刺激の少ないものを選ぶことが重要です。肌への負担を少なくすることで、かゆみやかぶれなどのトラブルを防ぐことができます。刺激の少ないものには、天然由来成分配合のものや、無添加のものが挙げられます。心配な方は、パッチテストをしてから使うのがおすすめです。
次に、汗の量やにおいの強さも考えてみましょう。汗をかきやすい方や、においが気になる方は、制汗効果の高いものを選ぶと良いでしょう。制汗効果の高いものには、汗腺を塞いで汗を抑えるものや、においのもととなる菌の繁殖を抑えるものなどがあります。商品に配合されている成分やその効果をよく見て選びましょう。反対に、汗の量が少ない方や、においがそれほど気にならない方は、効果が穏やかなものを選んでも良いでしょう。
使い心地や香り、形状も重要なポイントです。手軽に使えるスプレータイプ、しっかり塗れるスティックタイプ、さらっとした使い心地のローションタイプなど、様々な種類があります。自分の使い方や好みに合わせて選びましょう。香り付きのものもたくさんあります。爽やかな香りやフローラルな香りなど、色々な香りがあるので、好きな香りのものを選べば、気分も上がります。
毎日の生活の場面に合わせて使い分けるのも良いでしょう。例えば、スポーツをする時は汗をたくさんかくので、制汗効果の高いものを選びましょう。オフィスで働く時は、香りが強すぎないものを選ぶのがおすすめです。また、特別な日には、お気に入りの香りのものを選んで、気分を上げてみてはいかがでしょうか。自分にぴったりの制汗剤を見つけて、汗やにおいを気にせず、快適に過ごしましょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
肌の状態 | ・デリケートな肌向け: 刺激の少ないもの、天然由来成分配合、無添加 ・パッチテスト推奨 |
汗の量やにおいの強さ | ・汗かき/におい気になる人向け: 制汗効果の高いもの、汗腺を塞ぐ、抗菌効果のあるもの ・汗/におい少ない人向け: 効果が穏やかなもの |
使い心地や香り、形状 | ・スプレータイプ: 手軽 ・スティックタイプ: しっかり塗れる ・ローションタイプ: さらっとした使い心地 ・香り: 爽やか、フローラルなど |
生活の場面 | ・スポーツ: 制汗効果の高いもの ・オフィス: 香りが強すぎないもの ・特別な日: お気に入りの香り |