製造承認:かつての化粧品の安全の証
コスメが上手くなりたい
先生、『製造承認』って今はもうないんですよね?
コスメ研究家
そうだよ。化粧品については、平成13年4月1日から承認制度は廃止されたんだ。でも、気を付けてほしいのは、すべてのものが承認不要になったわけではないんだよ。
コスメが上手くなりたい
え?どういうことですか?
コスメ研究家
化粧品は承認制度がなくなったけど、薬用化粧品のような『医薬部外品』は、今でも製造承認が必要なんだ。だから、すべてなくなったわけではないんだよ。
製造承認とは。
化粧品を作ることを国が認めることを『製造承認』と言います。これは、化粧品の品名、材料とその量、使い方、使う量、効き目、効果、性能、副作用などを調べて、問題がないと判断されたものだけに与えられます。この承認は、2001年4月1日の法律改正で廃止されました。ただし、薬用化粧品など一部の商品は、現在もこの承認が必要です。
製造承認とは
化粧品を作る会社が、製品を売り出すためには、以前は国の許可が必要でした。これは「製造承認」と呼ばれ、人々の安全を守るための大切な仕組みでした。国が定めた安全基準に基づいて、化粧品の材料や効き目、使い方などが細かくチェックされ、問題ないと認められた製品だけが販売を許可されていたのです。
具体的には、化粧品を作る会社は、製品の材料や作り方、効き目や安全性を示すデータなどを国に提出します。専門家がそれらの資料を一つ一つ丁寧に調べ、安全性を確認するのです。例えば、肌への刺激の強さやアレルギーを起こす可能性、保存料の量などが厳しく評価されます。また、製品の説明書きが正しいか、消費者を誤解させる表現がないかなどもチェック項目の一つでした。
全ての審査に合格すると、国から承認を受け、「製造承認」の印が与えられました。これは、いわば国の安全基準を満たした製品であるという証です。消費者は商品にこの印がついているかを確認することで、安全な製品を選び、安心して使うことができました。
しかし、時代と共にこの制度は変わりました。国際的な基準との整合性や企業の自主的な安全管理体制の強化などを背景に、製造承認制度は廃止されたのです。現在では、各企業が責任を持って製品の安全性を確保し、消費者に情報を提供することが求められています。消費者は、企業が提供する情報を参考に、自身で製品の安全性を見極める必要があるのです。
制度 | 内容 | 企業の役割 | 消費者の役割 |
---|---|---|---|
旧制度(製造承認制度) | 国が化粧品の安全性を審査し、承認を与える。 | 製品の材料、作り方、効き目、安全性のデータを国に提出。 | 承認印を確認し、安全な製品を選ぶ。 |
現行制度 | 各企業が製品の安全性を確保し、消費者に情報を提供。 | 責任を持って製品の安全性を確保し、消費者に情報を提供。 | 企業が提供する情報を参考に、自身で製品の安全性を見極める。 |
承認の対象範囲
{製造販売の許可を得るには、様々な情報を提出し、審査を受けなければなりません。}届け出なければならない情報は多岐にわたります。まず、商品名はもちろん、どのような成分がどれくらいの量で配合されているのかといった詳細な情報が必要です。また、消費者がどのように使うのか、どのくらいの量を使うのかといった使用方法や使用量も重要です。さらに、その商品を使うことでどのような効果や効能が期待できるのか、そして、使用することで体にどのような影響が出る可能性があるのかも正確に伝えなければなりません。副作用の可能性についても、包み隠さず伝える必要があります。
これらの情報は、消費者が安全に商品を使うために欠かせないものです。届け出られた情報は、専門家によって細かく審査されます。例えば、体に害のある成分が含まれていないか、使い方を間違えると危険な状態になる可能性がないかなどを厳しくチェックします。もし、これらの審査基準を満たしていない商品が見つかった場合、市場に出回ることはありません。このように、厳しい審査を行うことで、消費者が安心して商品を使えるように配慮しているのです。
審査対象となる情報は、商品のラベルや説明書に記載される内容と一致していなければなりません。つまり、消費者が手にする商品に関する情報は、すべて事前に承認を得ているものなのです。これは、消費者の安全を守るための重要な仕組みです。万が一、承認されていない情報が記載されていたり、承認された内容と異なる商品が販売されていることが判明した場合は、販売の停止や商品の回収といった措置がとられることもあります。このように、徹底した管理体制によって、安全な商品が市場に流通するように努めているのです。
提出情報 | 審査項目 | 措置 |
---|---|---|
商品名 | 成分、配合量、使用方法、使用量、効果・効能、副作用 | ラベルや説明書に記載 |
成分 | 有害成分の有無、誤使用時の危険性 | 販売停止、商品回収 |
配合量 | – | – |
使用方法 | – | – |
使用量 | – | – |
効果・効能 | – | – |
副作用 | – | – |
制度の変更点
以前は、日本で販売されるすべての化粧品は、国による製造承認を得る必要がありました。これは、安全な化粧品を市場に流通させるための重要な制度でした。しかし、世界的な流れや企業の自主性を尊重するという観点から、平成13年4月1日、薬事法の改正が行われ、この製造承認制度は廃止されることとなりました。
この制度変更の大きな目的の一つは、国際的な基準との調和です。世界各国では、企業の自主的な安全管理を重視する方向へと規制が変わってきており、日本もこの流れに沿って制度を改めました。また、企業自身の責任で安全管理を行うことで、より効果的な安全対策を実施できると考えられました。承認制度がなくなったとはいえ、化粧品の安全性を軽視しているわけではありません。むしろ、企業の責任と自主性を高めることで、より高度な安全管理体制の構築を目指したのです。
制度変更後、企業はそれぞれの製品の安全性を自ら確認し、責任を持って管理する義務を負うようになりました。具体的には、原料の品質管理、製造工程の衛生管理、製品の安全性試験など、様々な取り組みが企業によって自主的に行われています。また、国も定期的な検査や市場の監視を通して、流通している化粧品の安全性を確認しています。このように、企業と国がそれぞれの役割を果たすことで、消費者が安心して化粧品を使える環境が守られています。変更後も、安全性の確保は最優先事項であり、関係者一同が日々努力を続けています。
項目 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|
承認制度 | 国の製造承認が必要 | 承認制度廃止 |
安全管理 | 国による承認 | 企業の自主管理 |
企業の責任 | 限定的 | 責任と自主性に基づく高度な安全管理 |
国の役割 | 承認、検査 | 定期検査、市場監視 |
安全性確保 | 国の責任 | 企業と国の協調 |
背景 | 安全な化粧品流通 | 国際基準調和、企業自主性尊重 |
医薬部外品への適用
かつては化粧品にも製造の許可を得る制度がありましたが、今は廃止されました。しかし、医薬部外品と呼ばれる製品については、今も変わらず製造前に国の許可が必要です。
医薬部外品とは、読んで字のごとく、薬と化粧品の中間に位置する製品です。化粧品と比べると、より高い効果が期待できるように作られています。例えば、薬用と銘打った洗髪料や、肌を白くする効果をうたう化粧品などが該当します。
これらの製品は、望ましい効果が得られる一方で、体に思わぬ影響を与える可能性も、化粧品に比べて高くなります。そのため、安全性をしっかりと管理する必要があります。そこで、国が定めた厳しい基準を満たしているかどうか、専門家が一つ一つ丁寧に審査しています。この審査を通過して、初めて製造の許可が下りるのです。
医薬部外品には、厚生労働大臣が定めた有効成分が配合されています。これらの成分は、効果や効能が科学的に認められたものです。また、配合量にも規定があり、安全かつ効果的に作用するように調整されています。
このように、医薬部外品は、化粧品よりも高い効果を持ちつつ、医薬品ほど強い作用を持たない製品です。そして、安全性も厳しく管理されています。消費者が安心して使えるよう、国がしっかりと品質を保証しているのです。
区分 | 許可 | 効果 | 安全性 | 成分 |
---|---|---|---|---|
化粧品 | 不要 | 比較的低い | 比較的低い | – |
医薬部外品 | 必要(製造前) | 化粧品より高い | 厳しく管理 | 厚生労働大臣が定めた有効成分 |
医薬品 | – | 高い | – | – |
承認制度廃止後の変化
かつて化粧品の製造には、国のお墨付きである承認が必要でした。しかし、この承認制度が廃止されたことで、業界全体に大きな変化の波が押し寄せました。これまで国が安全性を保証してくれていたため、各企業はそれに頼り切っていた部分がありました。しかし、制度廃止によって、各企業は自分たちで責任を持って安全管理を行う必要が生じたのです。
この変化に対応するため、多くの企業は製品開発の段階から見直しを行いました。安全な原料選びはもちろんのこと、製造工程における衛生管理や品質検査をより厳格にするなど、抜本的な改革に着手したのです。また、消費者に安心して商品を選んでもらえるよう、製品に関する情報を積極的に公開する企業も増えました。製品に使われている成分やその効果、使用方法などを丁寧に説明することで、消費者の不安を取り除き、信頼関係を築こうと努力しているのです。
一方、消費者側にも変化がありました。以前は国の承認マークが安全の証でしたが、制度廃止後は企業が提供する情報を元に、自分で製品の良し悪しを判断する必要が出てきたのです。そのため、成分表示や企業の姿勢などを注意深く確認してから購入する消費者が増えました。
国も、承認制度に代わる新たな仕組みづくりに動き出しました。市場に出回る製品の安全性を確保するため、企業に対する指導や監督を強化し、法令違反があった場合には厳正な対処を行うようになりました。また、消費者が製品に関する情報を適切に入手し、理解を深められるように情報提供の拡充にも力を入れています。
このように、承認制度の廃止は、企業、消費者、国、それぞれの役割に変化をもたらしました。企業は自主的な安全管理体制を構築し、消費者は製品情報を吟味する目を養い、国は市場全体の監視を強めるといった具合です。これらは、より安全で信頼できる化粧品市場の形成につながっていくと考えられます。
承認制度廃止以前 | 承認制度廃止以後 | |
---|---|---|
企業 | 国の承認に依存した安全管理 | 自主的な安全管理体制の構築、情報公開の推進 |
消費者 | 国の承認マークを信頼 | 製品情報を吟味し、自ら判断 |
国 | 承認制度による安全性の保証 | 企業への指導・監督強化、情報提供の拡充 |
現在の安全管理
かつては製造承認制度という、国が事前に化粧品の安全性を審査し承認を与える制度がありました。しかし、この制度は廃止されました。とはいえ、化粧品の安全性を確保するための取り組みは、現在も様々な形で続けられています。
まず、化粧品を作る企業は、自らが責任を持って製品の安全性を確保しなければなりません。具体的には、どのような原料を使うのか、どのような方法で製品を作るのか、そして製品をどのように保管するのか、といった全ての段階において、安全性を保つための仕組みを作っています。例えば、原料を選ぶ際には、安全性が確認されているものだけを使用するよう徹底しています。また、製造工程においても、異物が混入したり、菌が繁殖したりしないよう、衛生的な環境を維持することに努めています。さらに、完成した製品は適切な温度や湿度で保管し、品質が劣化しないよう管理しています。
加えて、企業は製品の安全性に関する情報を消費者にきちんと伝えることも求められています。製品に使用されている成分や、使用上の注意、アレルギーに関する情報などを、消費者が分かりやすい形で提供することで、消費者は安心して製品を選ぶことができます。
一方、国も消費者の安全を守るため、市場に出回る製品の監視や検査を行っています。抜き取り検査などで製品の品質や安全性を確認し、もし問題が見つかった場合には、販売の中止や製品の回収といった措置を迅速に講じます。また、化粧品に関する法令を整備し、企業が法令を遵守しているかを監督することで、消費者の安全を守っています。
このように、化粧品の安全は、企業と国がそれぞれの役割を果たし、連携することで守られています。企業は責任ある製品づくりを行い、消費者に必要な情報を提供し、国は市場の監視と法整備を通じて企業を監督するという、相互の協力によって、消費者が安心して化粧品を使用できる環境が維持されているのです。
主体 | 安全確保のための取り組み |
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企業 |
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国 |
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