まつ毛

まつ毛は本来、まぶたのふちから外側に向かって、まるで簾のように整然と並んでいます。しかし、その向きが変わり、眼球の方へ向かって生えている状態を「さかさまつ毛」と呼びます。さかさまつ毛には、生まれつきまつ毛の向きが内側に向いている先天性のものと、成長や生活習慣などによって後天的に生じるものがあります。さかさまつ毛は見た目にはあまり変化がない場合もありますが、実は様々な目の問題を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 さかさまつ毛の主な症状は、常にまつ毛が眼球に触れることによる異物感や刺激です。まるでゴミが入ったようなゴロゴロとした感覚や、チクチクとした痛みを感じることがあります。このような症状は、まばたきをするたびに悪化し、光をまぶしく感じたり、涙が止まらなくなったりすることもあります。これらの症状は、日常生活において、読書やパソコン作業、車の運転など、目の負担が大きい作業を困難にすることがあります。さらに、深刻な場合、まつ毛が角膜を傷つけ、角膜炎や角膜びらんといった目の病気を引き起こす可能性があります。角膜は、眼球の前面を覆う透明な膜で、光を眼球内へ取り込む役割を担っています。角膜が傷つくと、視力の低下や乱視などを引き起こし、最悪の場合、失明に至る危険性もあるため、早期の発見と適切な治療が重要です。 さかさまつ毛の原因は様々ですが、加齢によるまぶたの皮膚のたるみは大きな要因の一つです。年齢を重ねると、まぶたの皮膚の弾力が失われ、重力によって下垂しやすくなります。その結果、まつ毛が内側へ向かってしまい、さかさまつ毛になってしまうのです。また、アレルギー性の結膜炎や花粉症などで目をこする癖がある人も、さかさまつ毛になりやすいと言われています。目をこすることで、まつ毛の毛根や周囲の組織が炎症を起こし、まつ毛の成長方向に影響を与える可能性があるからです。その他にも、目の炎症や外傷、手術の後遺症なども原因として挙げられます。目の違和感や異物感、痛みなどを感じた場合は、自己判断せずに、すぐに眼科を受診しましょう。医師による適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、目の健康を守ることができます。

まつげは通常、まぶたの縁から外側に向かって弓なりに生え、眼球を保護する役割を担っています。しかし、中にはまつげの向きや並び方が異なる場合があります。その一つが『逆まつげ』です。逆まつげとは、まつげが眼球の方に向かって生えている状態を指します。生まれつきまつげの向きが異なる場合や、加齢によるまぶたのたるみ、眼科手術後の合併症、炎症、外傷などによって後天的に生じることもあります。 逆まつげは、単にまつげの向きが異なるだけでなく、眼の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。眼球にまつげが触れることで、常に刺激となり、異物感、痛み、かゆみ、充血、涙目などの症状が現れます。これらの症状は、目をこすったり、かいたりすることでさらに悪化し、細菌感染によるものもらいなどを引き起こす可能性も懸念されます。また、まつげが角膜に触れ続けることで、角膜に傷がつき、炎症を起こし、角膜びらんや角膜潰瘍などの深刻な眼疾患につながることもあります。さらに、長期間にわたり角膜が傷つけられると、角膜が濁り、視力の低下を招く恐れもあります。 逆まつげは見た目だけの問題ではなく、放置すると眼の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、症状が軽い場合でも、眼科を受診し適切な診断と治療を受けることが重要です。治療法としては、まつげを抜く方法や、電気分解でまつげの毛根を破壊する方法、手術でまつげの向きを矯正する方法などがあります。眼科医は、個々の症状や状態に合わせて適切な治療法を判断します。日頃から眼の異変に気づいたら、早めに眼科を受診し、適切なケアを行うように心がけましょう。