
色の変化の謎:メタメリズム現象
私たちは日々、身の回りの物の色を見つめて暮らしています。空の青、草の緑、夕焼けの赤など、色とりどりの世界に私たちは囲まれています。しかし、私たちが見ている色は、実は常に同じではなく、置かれた環境によって変化するということを知っていますか?
例えば、洋服店で明るい照明の下で気に入って買った服の色が、家の落ち着いた照明の下では違って見える、そんな経験はありませんか?お店では鮮やかな赤に見えた服が、家では少し暗い赤に見えたり、あるいは、お店では薄いベージュに見えた服が、家では少し黄色がかって見えたりする、こういった経験は誰しも一度はあるのではないでしょうか。
これは異なる光源の下で、同じ色が違って見える「色の見え方の変化」が原因で起こる現象で、色の錯覚の一種とも言えます。お店では蛍光灯の光、家では白熱灯の光など、光の種類によって物の色の見え方は大きく変わります。自然光である太陽の光の下でも、朝、昼、夕方で色の見え方は変化します。同じ物でも、光の当たり方や見る角度によっても色の見え方が変わるため、私たちが見ている色は、実際の色とは異なる場合があるのです。
この現象は「同色異譜」と呼ばれています。これは、異なる分光分布を持つ二つの色が、ある特定の光源の下では同じ色に見えるという現象です。分光分布とは、光に含まれる色の成分の割合を表すもので、光源の種類によってこの分光分布が異なります。そのため、同じ物でも、光源が変わると色の見え方も変わってしまうのです。
色の見え方の変化は、私たちの色の認識に大きな影響を与えます。例えば、化粧をする時、絵を描く時、服を選ぶ時など、色の見え方の変化を意識することは非常に重要です。色の見え方の変化を理解することで、より正確に色を認識し、より美しい色の世界を楽しむことができるでしょう。