
免疫を助けるアジュバント
私たちの体には、外から入ってきた病原体などから身を守る、免疫という仕組みが備わっています。この仕組みは、体にとって異物となるものが入ってくると、それにぴったり合う抗体という武器を作り、攻撃して体から追い出そうとします。この武器を作る働きをさらに高め、免疫の仕組み全体を活発にする物質のことを、アジュバントといいます。「助ける」「振動する」といった意味を持つ名前の通り、アジュバントは免疫の仕組みを支え、より良く働くように助けてくれる存在なのです。
アジュバント自体は、病原体と直接戦うわけではありません。例えるなら、アジュバントは、戦場で戦う兵士ではなく、兵士の訓練係のような役割です。兵士を鍛え、武器の作り方を教え、より強く戦えるようにサポートすることで、間接的に敵から身を守ることができるようにします。免疫という仕組みも同様に、アジュバントによって強化され、活性化することで、病原体という敵を効果的に倒すことができるのです。
ワクチンの中には、このアジュバントが含まれているものが多くあります。ワクチンは、病原体の毒性を弱めたものや、病原体の一部などを体に入れて、免疫の仕組みをあらかじめ訓練しておくことで、実際に病原体が侵入してきたときに素早く対応できるようにするものです。このワクチンの効果を高めるために、アジュバントが一緒に使われることが多いのです。アジュバントを加えることで、より少ない量のワクチンでも効果的に免疫を獲得できるようになり、また、免疫の効果が長く続くといった利点があります。つまり、アジュバントは、ワクチンの効果を最大限に引き出し、私たちを病気から守るための重要な役割を担っていると言えるでしょう。