
化粧品における亜鉛の役割
亜鉛という金属と酸が結びついてできた物質をまとめて亜鉛塩と呼びます。化粧品に使われる亜鉛塩は、主に油脂を構成する成分である脂肪酸と亜鉛が結びついた脂肪酸亜鉛です。脂肪酸の種類は様々で、炭素の数の違いによって、常温で固体か液体か、といった性質も変わってきます。
例えば、ステアリン酸やパルミチン酸などは炭素の数が多い脂肪酸で、常温では固体です。これらはロウソクのロウのような質感というとイメージしやすいかもしれません。一方、ラウリン酸は炭素の数が少なく、常温では液体です。サラサラとした油のようなイメージです。
これらの脂肪酸と亜鉛が結びつくことで、化粧品に様々な効果をもたらす亜鉛塩が生まれます。代表的なものに、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛などがあります。これらの亜鉛塩はいずれも白い粉のような見た目で、水には溶けにくい性質を持っています。
ステアリン酸亜鉛は、ファンデーションやアイシャドウなどのメイクアップ化粧品に配合され、滑らかさを与えたり、粉体のつきをよくする効果があります。また、日焼け止めなどにも含まれ、紫外線散乱剤の役割も果たします。肌へのなじみを良くし、塗り心地を向上させる効果も期待できます。
パルミチン酸亜鉛もステアリン酸亜鉛と同様に、メイクアップ化粧品やスキンケア化粧品に配合され、滑らかさや感触の向上に役立ちます。さらに、乳液やクリームのような乳化剤としても使われています。
ラウリン酸亜鉛は、洗顔料やボディソープなどに配合され、泡立ちを良くしたり、洗浄力を高める効果があります。また、デオドラント製品にも含まれ、体臭を抑える働きも期待できます。
このように、亜鉛塩は化粧品の中で様々な役割を果たし、使い心地や機能性を高めるために欠かせない成分となっています。それぞれの亜鉛塩の特性を理解することで、化粧品選びの際に役立つでしょう。