
肌に優しいオレイン酸の秘密
オレイン酸は、自然界に広く存在する脂肪酸の一つです。脂肪酸とは、油脂を構成する基本的な成分で、鎖状につながった炭素原子と、それに結合した水素原子、そして端にある酸素原子からできています。オレイン酸は、炭素原子が18個つながった構造をしており、炭素同士の結合に二重結合と呼ばれる特殊な結合を一つ持っています。この二重結合の位置がオレイン酸の性質を大きく左右します。オレイン酸の場合、二重結合は鎖の先端から数えて9番目と10番目の炭素の間にあります。
同じように炭素が18個で、9番目と10番目の炭素に二重結合を持つ脂肪酸に、エライジン酸と呼ばれるものがあります。オレイン酸とエライジン酸の違いは、二重結合の周りの構造にあります。オレイン酸は「シス型」、エライジン酸は「トランス型」と呼ばれる構造です。このわずかな違いが、それぞれの融点や体内での働きなどに違いをもたらします。オレイン酸は常温で液体ですが、エライジン酸は固体です。
オレイン酸は、私たちの身の回りにある様々な植物油に豊富に含まれています。例えば、オリーブ油や椿油、アーモンド油などには、全体の70~90%もの割合でオレイン酸が含まれており、主要な成分となっています。これらの油は、食用油としてだけでなく、化粧品や石鹸などにも利用され、私たちの生活に欠かせないものとなっています。さらに、オレイン酸は動物の脂肪にも含まれており、私たち人間の体脂肪の40~50%もオレイン酸が占めています。このように、オレイン酸は自然界に豊富に存在し、私たちの体の中にも多く含まれる、重要な脂肪酸と言えるでしょう。