
化粧品における炭の役割:黒色の秘密
炭と聞けば、まず思い浮かぶのは焼き肉などに使われる黒い燃料かもしれません。しかし、お化粧に使う炭は、それとは少し違います。お化粧に使う炭は、「カーボンブラック」と呼ばれる、とても細かい黒い粉です。これは、ガスや液体の炭化水素を、空気の少ない状態で燃やしたり、熱で分解したりして作られます。
このカーボンブラックは、一体どのようにして作られるのでしょうか。その作り方や原料の違いによって、粒の大きさや性質が変わり、様々な種類に分かれます。例えば、「チャンネルブラック」と呼ばれる種類は、炎を炉の壁に当てて作ることで、10ナノメートルほどのとても小さな粒子ができます。1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の一という、とてつもなく小さな単位です。想像もできないほど小さな粒子が集まって、あの黒い粉になっているのです。
他にも、「ファーネスブラック」や「サーマルブラック」など、様々な作り方があり、それぞれ異なる特徴を持っています。粒の大きさや形、表面の性質などが細かく調整され、お化粧品に最適なものが選ばれているのです。
これらの微細な黒い粒子が、お化粧品に黒色を付ける役割を果たしています。例えば、黒色のアイライナーやマスカラ、アイシャドウなどに使われています。また、ファンデーションなどに配合されることもあり、透明感を出す効果も期待できます。普段何気なく使っているお化粧品の中にも、実は様々な工夫が凝らされているのです。