
体内時計と美肌の関係
私たちの体の中には、およそ一日の周期でリズムを刻む体内時計という仕組みが備わっています。この体内時計を調整する上で欠かせないのが時計遺伝子です。時計遺伝子は、小さなハエや実験用のハツカネズミ、そして私たち人間にも存在することが、二十世紀の終わり頃に分かりました。
体内時計の司令塔としては、脳の中にある視交叉上核という部分が知られています。視交叉上核は、光などの外部からの刺激を受け取って、全身の体内時計を調整する役割を担っています。これまで体内時計は、主に視交叉上核によって制御されていると考えられていました。ところが、近年の研究で、時計遺伝子は視交叉上核だけでなく、体中の様々な細胞で働いていることが明らかになってきました。つまり、それぞれの細胞が、独自の体内時計を持っているのです。
細胞一つ一つに存在する時計遺伝子は、睡眠やホルモンの分泌、体温の調節など、日々の様々な体の活動にリズムを生み出しています。例えば、体温は朝目覚める頃に上がり始め、夜になると下がっていきます。また、成長ホルモンは夜眠っている間に多く分泌されます。これらのリズムは、細胞の中の時計遺伝子によって作り出されているのです。
もしこれらの時計遺伝子の働きが乱れてしまうと、体内時計が狂い、私たちの体に様々な影響が現れる可能性があります。例えば、睡眠に問題が生じたり、生活習慣病になりやすくなったりすることが考えられます。
現在、世界中の研究者たちが、時計遺伝子の働きや、それらがどのように互いに影響し合っているのかを熱心に調べています。時計遺伝子の研究がさらに進めば、私たちの健康維持に役立つ新たな発見につながることが期待されています。