
化粧品における二酸化ケイ素の役割
二酸化ケイ素は、ケイ素と酸素が結びついた化合物で、シリカや無水ケイ酸といった別名でも知られています。自然界では、石英や水晶、砂などに多く含まれるありふれた物質です。化粧品に使われる二酸化ケイ素は、純度96%以上の高品質なものが厳選されています。見た目には、白い粉のような状態です。水や油などの液体に溶けにくい性質を持っており、この性質が化粧品での活用に役立っています。
二酸化ケイ素は、熱を加えて作られますが、その製造過程における温度や時間などの条件によって、様々な形や大きさの粒子が生まれます。球状、板状、針状など、その形状は多様で、大きさも様々です。さらに粒子の内部構造にも違いが生じます。これらの違いによって、光の反射や散乱、液体の吸収性など、様々な性質が現れます。化粧品には、これらの性質をうまく利用することで、仕上がりの質感や使い心地を調整しています。
二酸化ケイ素の粒子の表面には、シラノール基と呼ばれる部分が存在します。このシラノール基は、水分子などを引き寄せる性質があり、これが二酸化ケイ素の高い吸着力の源となっています。化粧品に配合することで、汗や皮脂を吸収し、べたつきを抑えたり、さらさらとした感触を与えたりすることができます。また、ファンデーションに配合することで、肌への密着性を高め、化粧崩れを防ぐ効果も期待できます。
さらに、シラノール基は、マイナスの電気を帯びています。そのため、プラスの電気を帯びた物質を引き寄せる性質があります。例えば、汗や皮脂に含まれるアンモニアなどの臭い成分はプラスの電気を帯びているため、シラノール基がこれらを吸着し、不快な臭いを抑える効果を発揮します。このように、二酸化ケイ素は、その多様な性質から、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、日焼け止めなど、様々な化粧品に活用され、使い心地や機能性を向上させる重要な役割を担っています。