
化粧品における吸着の役割
物質の表面には、周りのものを引き寄せる力があります。この力を吸着と言い、磁石のように表面にくっつける現象のことを指します。
吸着は、なぜ起こるのでしょうか。物質の表面は、内部とは原子の並び方が違います。この違いが力の偏りを生み出し、周りのものを引き寄せる力、つまり吸着力が生まれるのです。
吸着される物質を吸着質、吸着する物質を吸着媒と言います。身近な例では、冷蔵庫の脱臭に活性炭が使われます。この場合、活性炭が吸着媒、臭い物質が吸着質です。活性炭の表面には小さな穴が無数に開いており、その広い表面積によって臭い物質を効果的に吸着します。
吸着現象は、空気と活性炭の間だけでなく、様々な物質間で見られます。水と固体、水と油、固体と水など、異なる物質が接する境界面では必ずと言っていいほど吸着は起こります。つまり、吸着は物質の表面で起こる普遍的な現象と言えるでしょう。
この吸着力は、化粧品においても様々な働きをしています。例えば、ファンデーションの中には、皮脂を吸着して化粧崩れを防ぐ粉体が含まれています。また、クレンジングオイルは、メイク汚れを吸着して落とす働きがあります。さらに、パックには、肌の汚れを吸着する成分が含まれているものもあります。このように、吸着は化粧品の機能において重要な役割を果たしているのです。