接触角

ぬれやすさ、あるいははじきやすさを数値で表す指標が接触角です。平らなところに液体を一滴たらした様子を想像してみてください。液滴の縁と、液体が置かれた面との間に角度ができます。この角度こそが接触角です。接触角は液体が固体表面とどのように触れ合うか、すなわちぬれやすさを示す重要な値となります。 接触角が小さい場合、液体は固体表面によく広がります。たとえば、よく磨かれたガラスに水をたらすと、水は薄く広がり、ガラス面と水滴の縁の角度は小さくなります。これは、水がガラス表面とよくなじみ、広がりやすいためです。このように、接触角が小さいほど、液体は固体表面を濡らしやすい、すなわちぬれやすいことを示します。極端な場合には、水滴はほとんど広がってしまい、接触角は０度に近くなります。 反対に、接触角が大きい場合、液体は固体表面に広がりにくい性質を示します。例えば、傘の布に水をたらすと、水は丸い粒状になり、布面との角度は大きくなります。これは、水が傘の布となじみにくい、つまり布が水をはじいているためです。接触角が大きいほど、液体は固体表面を濡らしにくい、すなわちはじきやすいことを示します。極端な場合には、水滴はほぼ完全な球形になり、接触角は180度に近くなります。 化粧品で考えると、ファンデーションの伸び広がりや、マスカラの液がまつ毛に付着する様子なども、この接触角が関係しています。肌へのなじみやすさ、あるいは水や汗に対する化粧崩れのしにくさといった性質も、接触角で評価できます。接触角は、物質の表面における濡れ性、はじきやすさを理解する上で、なくてはならない要素です。

化粧品を選ぶとき、肌へのなじみの良さは大切な点です。このなじみやすさを左右する要素の一つに、接触角というものがあります。接触角とは、液体が固体表面に触れたときに、液体と固体と空気の３つの境界面が作り出す角度のことです。 接触角は、液体の表面張力と固体の表面エネルギーによって決まります。表面張力とは、液体の表面を小さくしようとする力のことで、まるで薄い膜が液体の表面に張られているように働きます。この力は、例えば水滴が球形になる原因でもあります。一方、固体表面エネルギーとは、固体表面が他の物質とくっついたり、反発したりする力の源となるエネルギーです。 この二つの力のバランスによって接触角が決まり、接触角が小さいほど液体は固体表面になじみやすく、大きいほどなじみにくいという関係があります。例えば、朝露が葉っぱの上で丸くなっているのを見たことがあるでしょうか。これは、葉っぱの表面エネルギーが小さいため、水の表面張力が相対的に大きく働き、水滴と葉っぱの接触角が大きくなっているからです。逆に、葉っぱの表面に細かい毛がたくさん生えていると、水は葉っぱの表面全体に広がりやすく、接触角は小さくなります。 化粧品の場合も同様で、ファンデーションや乳液などが肌へなじみやすいかどうかは、接触角と深く関わっています。接触角が小さい化粧品は、肌に薄く均一に広がり、密着感が高まります。逆に、接触角が大きいと、化粧品が肌の上でムラになりやすく、ヨレや化粧崩れの原因となることもあります。そのため、化粧品開発の現場では、接触角を測定し、より肌になじみやすい製品作りに役立てています。つまり、接触角は、化粧品の使い心地を左右する重要な指標と言えるのです。