
髪の毛のミクロな世界
髪の毛の状態を詳しく調べる方法として、とても小さなものまで見ることができる顕微鏡を使った観察があります。顕微鏡の中でも、電子を使った顕微鏡は髪の毛の細かい部分まで見ることができ、研究でよく使われています。電子顕微鏡には大きく分けて二つの種類があります。
一つ目は、髪の毛の表面のデコボコなどを立体的に見ることができる、走査型電子顕微鏡です。この顕微鏡は、電子を髪の毛に当てて、そこから跳ね返ってくる電子をとらえることで、表面の様子を映し出します。まるで、山の地形図を見るように、髪の毛の表面の凸凹を鮮明に観察することができます。そのため、髪の毛の表面がどのくらい傷んでいるか、剥がれや切れ毛がないかなどを詳しく調べることができます。
二つ目は、髪の毛の内部の様子を詳しく見ることができる、透過型電子顕微鏡です。この顕微鏡は、電子を髪の毛に透過させて、その通り抜けた電子をとらえることで、内部の構造を映し出します。髪の毛を輪切りにした断面図のように、内部の層がどのように並んでいて、どのくらい詰まっているかなどを観察することができます。これにより、髪の毛の内部がどのくらい傷んでいるか、栄養が行き届いているかなどを調べることができます。
髪の毛の研究では、これらの電子顕微鏡の特徴を生かして、調べたいことに合わせて顕微鏡を使い分けています。髪の毛の表面の状態を詳しく調べたい時は走査型を、内部の状態を調べたい時は透過型をと、目的に合わせて使い分けることで、より多くの情報を得ることができるのです。髪の毛の健康状態や、使う製品の効果などを調べる際に、これらの顕微鏡は欠かせないものとなっています。