
夜間視力と桿体の関係
人間の目は、光を感じ取り、それを脳に伝えることで景色を見ることができます。この光を感じる役割を担うのが、目の奥にある網膜という膜に存在する視細胞です。視細胞には、明るい場所で色を見分ける細胞と、暗い場所で明暗を感じる細胞の二種類があります。前者を錐体、後者を桿体といいます。
錐体は、赤、青、緑の三種類の光にそれぞれ反応し、これらを組み合わせることで様々な色を識別します。一方、桿体は、色の違いを認識することはできませんが、少ない光でも反応するため、暗い場所での視覚を可能にします。例えば、夜空に輝く星や、月明かりに照らされた景色は、主に桿体のおかげで見ることができるのです。
桿体は、ロドプシンという色素を含んでおり、このロドプシンが光に反応することで、電気信号が発生します。この電気信号が視神経を通って脳に伝わり、私たちは物の形や輪郭を認識することができるのです。錐体が明るい場所で機能するのに対し、桿体は暗い場所でその真価を発揮します。暗闇に目が慣れるというのは、この桿体が働き始めることを意味します。
桿体は、色の情報は伝えませんが、明るさの情報を脳に送るため、夜の世界は色のない、白黒の世界のように感じられます。しかし、この桿体の働きによって、私たちは、たとえ光が乏しい環境でも、周囲の状況を把握し、安全に行動することが可能になるのです。つまり、桿体は、私たちの視覚にとって、なくてはならない重要な役割を担っていると言えるでしょう。