
暗闇に目が慣れるしくみ
暗いところにしばらくいると、周りのものがだんだん見えてくるという経験は誰にでもあるでしょう。これは暗順応と呼ばれる現象によるものです。明るい場所から急に暗い場所に移動した直後は、ほとんど何も見えません。これは、明るい場所に適応していた目が、急な明るさの変化に対応できていないからです。しかし、しばらく暗い場所に滞在すると、徐々に周囲のものが認識できるようになってきます。これが、目が暗闇に慣れていく、つまり暗順応している状態です。
私たちの目には、光を感じる細胞が備わっています。明るい場所では、これらの細胞はあまり働いていません。しかし、暗い場所では、光を少しでも多く捉えようと、これらの細胞が活発に働き始めます。この変化こそが、暗順応の鍵となります。暗さに目が慣れるまでには、ある程度の時間がかかります。これは、光の感受性が高まるまで、目の細胞が変化するのに時間が必要だからです。
暗順応には、二つの段階があります。最初の段階は、比較的早く起こり、数分程度で完了します。これは、主に目の表面に近い部分で起こる変化によるものです。二番目の段階は、もっとゆっくりと進み、完了するまでに30分ほどかかります。これは、目の奥深くにある細胞の変化によるものです。二番目の段階が完了すると、私たちは非常に暗い場所でも、ある程度ものを見ることができるようになります。
この暗順応という機能のおかげで、私たちは夜間や暗い室内でも活動することができます。例えば、映画館に入ったとき、最初は何も見えませんが、しばらくすると周りの座席や通路が見えてきます。これも暗順応のおかげです。暗順応は、私たちの視覚システムの驚くべき能力の一つであり、日常生活において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。