
色の魔法:減法混色で深みのある美しさを
色の変化は、光を吸収したり反射したりすることで生まれます。減法混色と呼ばれる色の作り方では、重ねる色が増えるごとに光が吸収され、見た目の色は暗くなっていきます。まるで光から色を引いているように見えるため、「減法」という名前がついています。
光の三原色(赤、緑、青)とは違い、減法混色の三原色は赤、藍色、黄色です。この三色を混ぜ合わせることで、様々な色を作り出すことができます。例えば、赤と藍色を混ぜると紫色になり、赤と黄色を混ぜると橙色になります。さらに、三原色全てを混ぜると、黒に近づきます。これは、全ての光が吸収されてしまうからです。
絵の具を想像してみてください。赤い絵の具は、赤い光だけを反射し、他の色の光は吸収します。青い絵の具は青い光だけを反射し、他の色の光は吸収します。この二つの絵の具を混ぜると、反射される光はほとんどなくなってしまい、私たちの目には黒っぽく見えます。
減法混色は、身の回りの様々なところで使われています。例えば、印刷物や絵画など、色を重ねて表現するものには、この減法混色の原理が使われています。雑誌の美しい写真や、画家の描く鮮やかな絵画も、この減法混色によって表現されているのです。また、色のついたセロハンを重ねたり、カラーフィルターを重ねたりする実験でも、減法混色を体験することができます。色のついたセロハンは、特定の色の光だけを通し、他の色の光は吸収します。セロハンを重ねる枚数が増えるごとに、通る光の色は少なくなり、最後はほとんど光を通さなくなります。
このように、光を吸収することで色を作る減法混色は、私たちの生活に欠かせない色の表現方法の一つです。身の回りの印刷物や絵画をよく見てみると、減法混色の不思議さをより深く理解できるでしょう。