
光で色が変わる化粧品
光によって色が変わる不思議な現象、それが今回ご紹介する「光色変化(こうしょくへんか)」です。光色変化とは、光が当たると物質の色が変化し、光がなくなると元の色に戻る現象のことを指します。この興味深い現象は、私たちの身近なところでも活用されています。例えば、光色変化する眼鏡をご存知でしょうか?明るい戸外に出るとレンズの色が濃くなり、室内に入ると元の透明な状態に戻ります。これはまさに光色変化の技術が使われているのです。
この光色変化のしくみは、物質の中に含まれる特殊な成分にあります。代表的な例として「ハロゲン化銀」と「銅イオン」の組み合わせが挙げられます。この二つの物質がガラスに混ぜ込まれていると、光が当たった際に化学反応が起こります。具体的には、ハロゲン化銀が光によって分解され、銀の微粒子が生成されます。この銀の微粒子が光を吸収するため、レンズの色が濃く見えるのです。そして光が弱くなると、銅イオンの働きで銀の微粒子は再びハロゲン化銀に戻り、レンズは透明な状態に戻ります。
また、「スピロピラン」と呼ばれる有機化合物も光色変化を示します。スピロピランの場合は、光によって分子構造そのものが変化することで色が変化します。光が当たると分子の形が変化し、特定の色の光を吸収するようになります。そして光がなくなると元の分子の形に戻り、色も元に戻ります。
このような光色変化の技術は、近年、化粧品にも応用され始めています。例えば、紫外線に反応して色が変化する日焼け止めです。塗った直後は無色透明ですが、紫外線量が多い場所では色が変化し、紫外線から肌を守っていることを目視で確認することができます。このように、光色変化は私たちの生活をより便利で豊かにする可能性を秘めた技術と言えるでしょう。