
肌の潤いを守る角層細胞間脂質
私たちの肌の一番外側には、角層と呼ばれる薄い膜のような層があります。この角層は、まるで家の壁のように、体を守る大切な役割を担っています。そして、この角層を構成する細胞と細胞の間を埋めているのが、角層細胞間脂質です。これは例えるなら、レンガ造りの家のレンガとレンガの間を埋めるセメントのようなものです。細胞同士をしっかりとつなぎとめ、角層の構造を維持するのに欠かせません。
この角層細胞間脂質は、主に三つの成分からできています。一つ目はセラミドと呼ばれる成分です。これは、水分を保つ働きに優れ、肌の潤いを保つのに重要な役割を果たします。二つ目は脂肪酸です。これは、肌を柔らかく保ち、外部からの刺激を和らげる働きがあります。三つ目はコレステロールです。コレステロールと聞くと、体に悪いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、肌においては、細胞間脂質の構造を安定させるために必要不可欠な成分です。
これら三つの成分が、絶妙なバランスで混ざり合うことで、層状の構造を作り出します。ミルフィーユのように幾重にも重なったこの構造は、ラメラ構造と呼ばれ、水分を挟み込み、逃さないようにする働きがあります。また、ラメラ構造は、まるでバリケードのように、紫外線や細菌、アレルゲンなどの外部刺激から肌を守る役割も担っています。このバリア機能のおかげで、私たちは健やかな肌を保つことができるのです。角層細胞間脂質は、角層全体の約15%もの重量を占めています。これは、角層細胞間脂質が、肌にとってどれほど重要な成分であるかを示す一つの証拠と言えるでしょう。