
加齢による皮紋の変化
私たちの肌の表面をよく見てみると、縦横に走る溝と、その溝に囲まれた少し盛り上がった部分があります。この溝と盛り上がりによってできた模様が皮紋で、皮膚の模様とも呼ばれます。皮紋は、指紋、手のひら紋、足の裏紋といったように、一人一人違う固有の模様を作り出しています。
生まれたときから一生変わらないものとして、犯罪捜査や個人を特定することなどにも利用されています。指紋占いのように、性格や才能との関わりがあると考える人もいるほど、私たちの体にとって興味深い特徴の一つです。
顕微鏡で見ると、若い人の皮紋は、溝と盛り上がりの凹凸がはっきりとしており、きめ細かく整った状態です。この細かい凹凸が、肌に滑らかで、みずみずしい印象を与えます。これは、肌の水分量や皮脂の分泌が活発であるため、皮紋がくっきりと見えるからです。
しかし、年を重ねるにつれて、この皮紋は徐々に変化していきます。加齢とともに、肌の水分量や皮脂の分泌が少なくなり、皮紋の溝と盛り上がりの差が小さくなります。また、紫外線などの外的刺激によって、肌の弾力が失われることも、皮紋の変化に繋がります。すると、皮紋は次第に浅く、不明瞭になり、肌のきめが粗くなったように見えてしまうのです。これは、まるで一枚の布が使い古されて、表面の模様が薄れていくような変化と言えるでしょう。
このように、皮紋は肌の状態を反映する鏡のような存在です。生まれたときから変わらない固有の模様でありながら、年齢や環境によって変化していく皮紋は、私たちの体の歴史を刻んでいると言えるかもしれません。