
進出色で立体感を演出!
色は、平面に塗られているように見えても、奥行きを感じさせることがあります。まるで色が前に出てきたり、後ろに下がったりするように見えるこの効果は、色の進退と呼ばれています。色の進退は、私たちが普段目にしている風景の中でも自然に起こっている現象です。例えば、遠くの山は青っぽく霞んで見え、近くの建物は鮮やかな色で見えます。これは、空気中のちりの影響で遠くの色が弱められて見えるためですが、この色の変化が距離感、つまり奥行きを生み出しているのです。
メイクにおいても、この色の進退は重要な役割を果たします。前に出ているように見える色を、進出色と言います。一般的に、暖色系の色や明るい色、鮮やかな色は進出色とされています。例えば、赤やオレンジ、黄色などの暖色は、見ていると温かさや活気を感じさせ、前に迫ってくるような印象を与えます。また、白や明るいベージュなどの明るい色も、光を反射しやすいため、膨張して見える効果があり、進出色として認識されます。逆に、後ろに下がっているように見える色は、後退色と呼ばれます。寒色系の色や暗い色、くすんだ色は後退色とされています。青や紫、緑などの寒色は、クールで落ち着いた印象を与え、後ろに引いていくような印象を与えます。また、黒や濃い茶色などの暗い色は、光を吸収しやすいため、収縮して見える効果があり、後退色として認識されます。
メイクでは、この色の進退をうまく利用することで、顔に立体感を作ることができます。例えば、鼻を高く見せたい場合は、鼻筋に明るい色のファンデーションを塗り、鼻の側面には暗い色のファンデーションを塗ります。そうすることで、明るい色は進出色として鼻筋を高く見せ、暗い色は後退色として鼻の側面を低く見せる効果が生まれ、鼻が高くすっきりとした印象になります。また、頬をふりたい場合は、頬骨の高い位置に進出色であるチークをのせます。すると、頬骨が前に出ているように見え、顔全体に立体感が生まれます。逆に、顔のエラが張っているのを目立たなくしたい場合は、エラ部分に後退色であるシェーディングを入れます。すると、エラ部分が後ろに下がっているように見え、顔の輪郭がすっきりとした印象になります。このように、色の進退を理解し、メイクに活かすことで、自分のなりたい顔の形に近づけることができるのです。