
においを消す技術:消臭剤の仕組み
私たちは、暮らしの中で実に様々な香りに包まれています。いい香りもあれば、そうでないものもあります。中でも、汗や体臭など、体から出てくるにおいは、自分自身はもちろん、周りの人にも少なからず影響を与えるため、気にしている方も多いのではないでしょうか。
体臭の原因となるものには、大きく分けて2種類あります。一つはアンモニアのような窒素を含む物質です。これらはタンパク質が分解される過程で発生します。もう一つは、揮発しやすい性質を持つ低分子の脂肪酸です。皮脂腺から分泌される皮脂が分解されることで発生します。これらの物質が複雑に混ざり合うことで、一人ひとり異なる独特のにおいが生まれます。
汗自体は、ほぼ無臭です。しかし、汗に含まれる成分が皮膚の常在菌によって分解されると、においを発するようになります。特に、わきの下や足の裏など、汗腺が多く、蒸れやすい部分は菌が繁殖しやすいため、においが発生しやすい場所です。
また、年齢を重ねると「加齢臭」と呼ばれる特有のにおいが発生することがあります。これは、皮脂に含まれるパルミトレイン酸という脂肪酸が酸化分解されることで発生する「ノネナール」という物質が原因です。ノネナールは、40代頃から増加し始め、年齢とともに発生量が増えていくため、対策が必要となる場合もあります。
このように、においの種類や原因物質を理解することで、自分に合った効果的なにおい対策を行うことができます。例えば、汗のにおいが気になる場合は、汗腺を清潔に保つことが重要です。こまめなシャワーや、汗拭きシートなどを活用することで、においの発生を抑えることができます。加齢臭が気になる場合は、皮脂の酸化を防ぐ抗酸化サプリメントを摂取したり、ノネナールを吸着する消臭スプレーを使用するなどの対策が有効です。