
肌の構造:重層扁平上皮
私たちの皮膚は、複数の細胞の層が重なり合うことで、まるで城壁のように体を守っています。この構造を持つ上皮を重層扁平上皮と言います。
この上皮は、表面に近い細胞が平べったい形をしていることが大きな特徴です。この平べったい細胞は、薄い板を何枚も重ねたように並んでおり、体の表面を覆うことで、乾燥や摩擦といった外部からの刺激から体を守っています。
さらに、重層扁平上皮は、表面から奥に向かって細胞の形が変化していくという、興味深い特徴も持っています。表面は平べったい形ですが、奥に進むにつれてだんだんと立方体のような形になり、一番下の層では円柱のような形に変化します。これは、城壁を作る際に、表面には平らな石を、奥に行くほど大きな石を使うのと同じように、それぞれの場所に適した形になっているのです。
一番下の層にある円柱状の細胞は、盛んに細胞分裂を繰り返すことで、常に新しい細胞を生み出しています。新しく生まれた細胞は、徐々に上へと押し上げられていき、最終的には平べったい細胞となって表面にたどり着きます。そして、古くなった細胞は垢となって剥がれ落ち、常に新しい細胞と入れ替わることで、皮膚の健康が保たれています。
このように、重層扁平上皮は、細胞の形と重なり合う構造によって、私たちの体を外部の刺激から守るという重要な役割を果たしているのです。