
美の秘訣:うぐいすの糞
鶯の糞は、その歴史を紐解くと、古く平安時代から美しさの手助けをするものとして、日本で大切に用いられてきました。当時の洗顔は、米ぬかや植物の灰などを水で溶いたものが主流でしたが、宮中では、鶯の糞が洗顔料として珍重されていました。その洗顔料は「うぐいすの粉」と呼ばれ、高貴な身分の女性たちの間で使われていたのです。
平安時代の貴族社会においては、白く美しい肌は大変な憧れであり、美しさの象徴とされていました。うぐいすの粉は、その美肌作りに欠かせないものだったのです。当時の文献によると、うぐいすの粉は、肌の汚れを落とし、きめを整え、滑らかにする効果があるとされていました。また、肌のくすみを取り除き、透明感を高める効果もあったと伝えられています。
現代の研究では、うぐいすの糞に含まれる酵素に、肌の古い角質を取り除き、新陳代謝を促す作用があることが明らかになっています。さらに、保湿成分も含まれており、肌の潤いを保つ効果も期待できます。古くから経験的に知られていた美肌効果が、現代科学によって証明されたと言えるでしょう。
このように、うぐいすの粉は、千年の時を超えて、今もなお美しさを求める人々に愛され続けています。洗顔料としてだけでなく、化粧水や乳液、パックなど、様々な化粧品に配合され、その伝統の技は現代の技術と融合し、更なる進化を遂げています。時代が変わっても、自然の恵みを生かした美の追求は、これからも続いていくことでしょう。