
肌の奥深く:有棘層を探る
私たちの肌は、体を守る大切な器官です。外からの刺激から体を守り、体温調節や水分保持といった機能も担っています。肌は大きく分けて表皮、真皮、皮下組織の3つの層から成り立ち、このうち最も外側にあるのが表皮です。表皮はさらにいくつかの層に分かれており、それぞれの層が特有の細胞で構成され、連携して肌の健康を維持しています。
表皮の中で大部分を占めるのが有棘層です。基底層で作られた細胞は徐々に形を変えながら上方へと移動し、有棘層へと到達します。この有棘層は、名前の由来にもなっている、まるで棘のような突起を持つ細胞が特徴です。細胞同士が絡み合うようにして隙間なく並んでおり、この構造がレンガを積み重ねた城壁のように、外部からの刺激や異物の侵入を防ぐ役割を果たしています。
有棘層の厚さは部位や人によって異なり、3層から8層もの細胞層から構成されています。例えば、手のひらや足の裏など、摩擦の多い部分は有棘層が厚くなっています。これは、外部からの刺激から身を守るために、より頑丈な構造が必要とされるためです。逆に、まぶたなど皮膚の薄い部分は有棘層も薄く、刺激を受けやすい繊細な部分となっています。
有棘層には、ランゲルハンス細胞という免疫細胞も存在します。ランゲルハンス細胞は、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を認識し、排除する働きを持つ、いわば肌の門番です。これらの細胞が、肌の健康を保つ上で重要な役割を果たしているのです。このように、有棘層は細胞同士の結合が強く、厚みがあり、免疫細胞も存在することで、私たちの体を様々な脅威から守る、重要な役割を担っています。